新刊のご紹介:文庫本『実験犬シロのねがい』

  • 2012.08.31 Friday
  • 00:00
今日、ご紹介する本は絵本『星空のシロ』の姉妹本として、
同著でご一緒した作家・井上夕香さんの本に、
葉祥明が表紙絵を描いて出版された文庫本『実験犬シロのねがい』です。読書

実験犬シロ”の哀しいお話しは1990年の当時マスコミでも大きく取り上げられ、
殺処分されていく動物や、動物実験の実態を多くの方が知るきっかけになりました。
その反響を受けて、東京都は動物の払下げ即時廃止と払下げ廃止を打ち出すことになります。YES!

1990年当時は約百万匹もの犬と猫が飼い主に捨てられ、殺処分されていたのですが、
今は啓蒙活動の成果もあり、2010年で約20万匹にまで減少しています。よつばのクローバー
(それでも、まだ20万!)

2006年には払い下げの動物がゼロになったとされるのですが、
最初から実験に用いるための繁殖がなされ、動物実験そのものを規制する法律はありません。
ただ、「実験動物技術者」という認定試験やコンピュータのシミュレーションによる代替実験などを通して、不要な実験やできるだけ苦しみを与えないようなガイドラインが普及し始めています。

私たちが生きていく上で、薬の効用や副作用を調べるための動物を使った臨床実験から得られる科学的知見は必要である、という見方もあります。
いずれにしても、できるだけ動物福祉の観点に立ってもらえるといいな、と思います。猫犬

この本では、捨てられてしまった動物たちの境遇に胸を痛め、
多くの成果を生み出すきっかけとなった“実験犬シロ”の出来事を軸に、
他の動物実験の実態を子どもにもわかりやすく書かれています。鉛筆

お子様だけでなく、是非、大人の方にも手にとっていただきたい本です。楽しい

URL『実験犬シロのねがい』のお買い求めはこちらから!back

  downdowndown(一部抜粋してご紹介します)downdowndown

【 作 】井上夕香
【 絵 】葉祥明
【協 力】野上ふさ子(NPO法人 地球生物会議ALIVE代表)
     杉坂ゆかり(ヘルプアニマルズ)
【価 格】924円(税込) 
【頁 数】185ページ
【判 型】17.3×12.7×1.4cm(縦×横×厚)
【出 版】ハート出版(2012年8月10日)

<表紙と裏表紙の見開き>


<ページ1>

実験に使う動物は、犬だけではない。
猫、うさぎ、ねずみ、やぎ、サル……昔から、わたしたちのまわりにいる、
愛らしい動物たちが、痛く苦しい目にあいながら、毎日まいにち、死んでいく。
人の命を助けるために、また病気をなおす薬をつくるため、そして、その薬の安全性をたしかめるために、動物実験はぜったいに必要だ、と考える人もいる。
もちろん、そういう考え方もあるだろう。
だが、そうとばかり言いきれない動物実験も、たくさん行われている。
化粧品や、使わなくてもよい薬や、洗剤を開発するためにも、毎年、何百万匹ものマウスや、ラット、うさぎや犬や、サルたちが、ひどい目にあわされて泣いている。

<4-5ページ>

気持ち良く晴れあがった、秋の日の午後だった。
東京のはずれ、多摩川の近くにある卓也の家で、五匹の子犬が産まれた。
うす茶色が二匹。シロが二匹。最後の一匹は、白と茶色のぶち犬だ。
みんなそろって、ママのおっぱいをチューチューすっている。
卓也が、そっと犬小屋をのぞきこむと、お母さん犬のエルフが、ほこらしげに顔をあげた。
「やったぞ、エルフ!すごい、すごい」
卓也は、大の動物好きだ。
いままで、エルフのほかにも、猫のハッピー。うさぎのノソちゃん。
金魚のデメくん。かめのゴキゲン。かえるのピョン。ざりがにのザリベー。
と、ずいぶんいろいろな動物を飼ってきた。

<56-57ページ>

卓也を見送ると、村山さんはみほさんを見て、ため息をついた。
「考えて見ると、わたしも罪な仕事をしているなあ。この手で犬たちを毎日、天国に送っているんだからなあ」
「でも、村山さんのせいじゃないわ。ペットを捨てる人がいるからよ」
「こまったものだ。考えるとつらくなるよ」
みほさんは、ふと気づいたようにいった。
「あの子に実験犬のことは話したんですか?」
「いやいや、とても……子どもに話せるようなことじゃないからなあ」
「でも、そうでしょうか。大人が見過ごしている問題を、子どもが発見していることだって
あるんですよ。子どもに知らせたくないからって、ごまかすことは、よくないことじゃないかしら?」
「そりゃ……たしかに、そうだけど」

<144-145ページ>

「あの犬、足を引きずっているわ」
「あの柴犬のおしり、なぜ、あんなふうにとがっているの?」
様子を見に行った女の人が、中山さんにたずねた。
「あの犬、どうしたんですか?」
「手術を受けたばかりでねえ。傷が治らなくて、みんなといっしょに外に出せないんだよ」
「手術って、いったいなんの手術なんですか?」
「脊髄の神経を切る手術を受けたんだよ。切られた神経が、どうやって回復するか調べる実験らしいよ。」
「それで、こんな姿に?」
「でも、医学の研究のためなんだから、しかたないね」
言ってしまってから、中山さんは、はっと口をつぐんだ。
なんだか犬たちに申し訳ないような気がしたからだ。
コメント
非常に難しい問題です。我々は、いろんな犠牲のお陰で生かされていることに感謝しなければいけませんね。
  • toshi
  • 2012/08/31 6:22 AM
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