2016年5月27日、アメリカの元大統領、“バラク・オバマ”氏が日本にとって、世界にとって、歴史的な演説をしました。このスピーチを聴いた人の多くが、感動を覚えた一日になったと言っても過言ではありません。
この記念すべき“広島スピーチ”を後世の子供たちに“絵本”という形で残したい、という出版社からの依頼で、テレビで活躍しているジャーナリストの“池上彰”さんが英文の翻訳をし、葉祥明が絵を描くことになりました。
長崎の原爆絵本『あの夏の日』に続き、広島のことを描くことになった葉祥明にとっても、もちろん、池上彰さんにとっても、やはり特別な依頼となったようです。
戦争とは何か?なぜ、戦争をしてはいけないのか?
そして、未来のために今、どうしなければいけないのか…。
力強いメッセージが込められています。
是非、ご一読下さい!
<おわりに>
アメリカのバラク・オバマ大統領が広島にやってきて、「世界から核兵器をなくすために努力しよう」と演説しました。私は、すぐ近くで演説を聞き、感動しました。
というのも、これまでアメリカは、日本の広島と長崎に原爆を落としたことを悪いと認めず、大統領が広島に来ることなど考えられなかったからです。それどころか、原爆を落としたことで太平洋戦争を早く終わらせることができて、多数の人の命を救うことができた、と説明してきました。(中略)
しかし、そんなアメリカの勝手な考えで、多くの人が亡くなり、今も後遺症で苦しんでいる人たちがいます。そのことをアメリカの人たちに知ってほしい。大統領にも被害を見てほしい。広島や長崎の被爆者は、そう望んでいました。
オバマ大統領は、その願いにこたえたのです。ただし、多くの人を死に追いやったアメリカの責任については触れませんでした。それを言うと、アメリカ国内で批判されるからです。
でも、オバマ大統領は、世界から核兵器をなくしたいと考えています。その主張でノーベル平和賞を受賞しました。核兵器を簡単になくすことはできない。けれども、「核兵器をなくそう」と主張しなければ無くせない。こう考えて、オバマ大統領は広島にやってきたのです。その呼びかけに、私たちは、どうこたえるべきでしょうか。(2016年11月 ジャーナリスト・池上彰)
<おわりに>
オバマ大統領の広島スピーチを絵本にする。その企画に私は、正直言って戸惑いました。
大統領の言葉に触れたとき、そこには、葛藤や願いが複雑に織りなすものを感じる一方、その奥に、本来、誰もが願っている、全ての生命の尊さ、それを支えている雄大な大自然の悠久の営みと美しい地球の姿が見えました。それこそが、描くべき絵だ!と。(中略)
オバマ大統領のスピーチにあるように、広島の地がこの世界にとって、新しい道徳と理念の出発点になっていた。いつかそう振り返る日が来て欲しいと思います。この絵本がその証しともなることを願って……。(2016年11月 絵本作家・葉祥明)
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【書籍名】絵本『きみに聞いてほしい〜広島に来た大統領〜』
【原 文】オバマ元大統領
【 絵 】葉 祥明
【 訳 】池上 彰
【価 格】1,600円(税別)
【頁 数】48ページ
【判 型】22×15.6×0.6cm
【発 行】リンダパブリッシャーズ(2016年12月31日)
【出 版】徳間書店
【特 長】2016年5月27日、アメリカのオバマ大統領が被爆地である広島を訪問した。そこで語られた、スピーチ全文を、ニュース解説でおなじみの池上彰氏が子供たちでもよめるようにわかりやすく翻訳。そして、画家・絵本作家の葉祥明氏による描き下ろしの絵をあわせたメッセージ絵本です。あの日、語られたオバマ大統領のメッセージを未来に生きる子供たちに伝えるための一冊です。巻末には原文も掲載しています。
<02-03ページ>(ここから本文より一部抜粋してご紹介します)

71年前の
明るく晴れた朝、
広島に原爆が落ちました。
この日から
世界はすっかり変わってしまいました。
人間たちは、
自分たちを破滅させる武器を
持ってしまったのです。
<12-13ページ>

どの宗教も愛や平和を約束するのに、
宗教の名の下に殺人を犯す人たちが
います。
科学によって、私たちは世界中と話を
したり、雲の上を飛んだり、病気を治
したり、宇宙のことを知ったりすることが
できるようになりました。しかし、
そうした科学的な知識が殺人マシンを
作り出すこともあったのです。
<18-19ページ>

1945年8月6日の
朝の記憶を決して薄れさせてはなりません。
その記憶があれば、
私たちは戦争しがちな自分たちを
変えることができるのです。
<26-27ページ>

私たちは、
戦争に対する考え方を
変える必要があります。
もめごとは、戦争ではなく
話し合いで
解決しなければならないのです。
私たち人類は、
過去で過ちを犯しましたが、
その過去から学ぶことができます。
子どもたちに対して、
別の道もあるのだと
語ることができます。